暑かったり寒かったり雨降ったりで体調悪くしそうですね、皆さんもお気をつけください。
そしてここにも調子を崩したという機械が1台。

調子悪いとは思えないキレイな状態です。コレ知り合いの家にある漉き機なのですが、購入時から見守っている機械なので他人の物なのに不思議な愛着があります。西山製です。これを手掛けたミシン屋さんの粋なカスタムが面白い個体です。
んで、持ち主から電話で「久しぶりに使おうと思って刃を研ごうとしたら動かなくなっちゃった」「グラインダーが真っ黒だ」「緊急事態だ」「何もしてないのに!」と、悲壮感漂うトーンで電話がかかってまいりました。
スマイル0円、恩も全力で売りに行きます、救急車のように使ってくれても構わないこちらleather&musicでお馴染みWildroseのブログです。
「久しぶりに使おうと思って刃を研ごうとしたら動かなくなっちゃった」
仕方ないんです。レザークラフトにおけるホビー層・エンジョイ勢、表現は何でも良いですけど、ライトな使い方と使用頻度では使い方を覚える頃に死ぬと言っても過言ではありません。これは教室の先生レベルでも散見されるくらいですからあなたは悪くありません、餅は餅屋です。
出来上がった作品の素晴らしさと機械の上手い下手は全く関係ありません。つまりミシン屋さんが作家さんになれるのかというとそうでもないですし、まして私などミシン屋さんにも作家さんにもなれないただのキモいハンパ者なワケであります。
ですから機械に興味ない人はプロのミシン屋さんから買って面倒見てもらうか、または私に酒を飲ますか(待ちなさい)いずれにしてもお金払って何とかしましょう。ヤフオクで謎の機械買うとかイカれた所業ですよ(お前が言うな)
でもまあ、無駄な出費が少しでも減るように、そして私が同じ内容で何度も呼ばれないように、漉き機を使うなら持ってても持ってなくても最低限のことくらいは知識として入れといて欲しいのであります。
「緊急事態だ」
と言われて来たからにはいきなり電源オンしてはいけません。まずはざっとチェックします、目視で異常(ベルトやビアダル付近に異物とか)無ければ手でメインのプーリーを回してみましょう。
適正な状態なら、クラッチモーターならば電源入れずにペダルを踏めば手で回ります。サーボなら踏まなくても回ります。最初の写真、綺麗な状態でしたよね。でも回らない…刃を研ごうとしたら、というのがキーワードですね。

コレね。奥がネジになってて、更にその奥の棒でグラインダーのアームを押してるんです。

こういう仕組みです。グラインダーのアームは、板バネで手前(刃がある方向)に力が加わっているのですけど、オーナーは上のノブを抜けるまでCCW(反時計回り)させたそうです。
要するに、板バネ全力押しで刃にグラインダーを押しつけている状態ということです。これが今回の原因でした。「何もしてないのに」って言ってたような気がするけど、きっと私の気のせいですね。
「グラインダーが真っ黒だ」
では改めて、例のノブを回してグラインダーを刃から離します。ねじ込む方向に回せば棒がアームを押す構造なので、時計回りに回していきます。横から見て、目視で確認しましょう。

うぇぇ…何コレ本当真っ黒。何でこうなるのか分かりませんけど、とりあえず見てほしいのはここ。

ちょっと矢印ズレましたけど、刃とグラインダーに隙間があるようにします。画像ではスレスレですけど、ちゃんと離れていればOKです。
ではようやくスイッチオン、ドレッサーでグラインダーを綺麗にしてやります。

はい。
では刃を研いでいきます。

1.0ってのは私も分かりません笑
自信のない人はテキトーにこうやって塗ってください。
ここで今日1番大切なこと。
刃を研ぐ時は回しっぱなし
刃先はとても繊細です。
研ぐ時、つまり、グラインダーを刃に当てる時は必ず刃を回しながら当てる。そして回ってる状態で離すというのが鉄則です。
一言でいうと回ってない時に触れててはいけない
です。鉄の掟ですから、これを破るというのが何を意味するか、肝に銘じておいてください。自分が初心者だと思う人なら、今日はこれだけ分かれば大丈夫です。
それでは回しながら研いでいきます。
いつも同じディスタンス

塗った部分が消えてるのはグラインダーが当たった部分ですね。刃先とは逆に当たってるというのが分かりますか?
ワタシ的に「この辺かな」という刃の位置でやったんですけど、ぜんぜん違う。

はい、もう一度コレ見てください。
グラインダー調節ネジの右にあるのは刃を移動するノブです。押さえに対して刃が近すぎると、さっきみたいに根元しか当たらないです。ここを深掘りすると別の記事が書けちゃうので割愛しますが、とりあえず今回は押さえに対して刃を(この画像でいう右方向に)離していきます。

刃を徐々に離しながら研いでいくと、グラインダーと刃の接点も刃先方向に移動します。じゃあおもくそ離して研げば1発OKじゃんとはいきません。離し過ぎると刃の角度が変わります、ていうか、ちょっとの距離でけっこう変わりますから、まずは近いところから、ちょっとずつ離すというのがこの記事における正解です。
本来の目的は予定通りに革が漉けることなので、それを達成出来る切れ味になっていれば良いのです。つまり、乱暴にいうと刃先だけ研げていれば良い。
自分しか使わない機械なら自分の位置で良いのですけど、自分じゃない人も使う場合、前の人がどの位置で研いでるのか分かりません。クラフト教室の共用機械なんかまさにそれ。自分が失敗した理由を他人のせいにしてはいけませんから、完全個人使用以外の場合は絶対にどこか疑ってかからなければいけません。
理想は、常に同じ位置で刃を研ぐことです。でもなかなか難しいんですよね。教室だろうと職場だろうと、それぞれの技術レベルと信念があるのです。
あ、最後に裏研ぎ棒も忘れずに。製甲屋さんは棒砥石って言ってたっけ。
いったんグラインダーを離して、回しながら刃の裏に優しく当てて、バリが出てくれば刃先が研げてるということになります。この時の手応えも覚えておきましょう。
で、出てきたバリをもう一度グラインダー当てて落としていきます。今度は超優しく当てます。音に注目です(日本語難しい)
グラインダーのノブをゆっくり回して当てていきます、イメージとしては時計の5分を回すのに10秒かけるくらい。触るか触らないかくらいの当て方をすると、聞こえるか聞こえないかくらいの音がしますから、そうするとバリが消えていくのが目でも見えるはずです。
以上で刃の研ぎ初級編はおしまい、文字で書くのって超ムズいっすね。知恵熱でそう。